広告やパンフレット等でよく見る綺麗~~な滝の写真ってありますよね。
水が糸のように映っている写真をイメージしながら言ってるんですが、そのような写真はシャッタースピードを遅くして撮影する必要があります。ただ、ちょっとだけ道具や最低限の予備知識が必要です。とは言えそんなに難しいものではなく、初心者の方でも十分に対応可能な内容なので、是非チャレンジしてみてくださいね。
スローシャッターで撮る水の魅力
まずは作例として、スローシャッターで撮影した滝の写真を見てみましょう。
iso100・f8・ss3秒
iso100・f8・ss10秒
iso100・f8・ss5秒
数秒間シャッターを開き続けることで水の流れが糸のように描写され、とても繊細な印象になります。実際肉眼ではこうは見えないので、大げさに言うと異世界感のある・・・と言いますか、神秘的な雰囲気の写真に仕上がるわけですよ。
比較対象として、早いシャッタースピードで撮影した写真も見てみましょう。
iso5000・f2.8・ss1/1250秒
先ほどの3枚目の作例と同じ場所で、シャッタースピード1/1250秒で撮った滝の写真です。しぶきの一滴一滴が写し取られ、力強い印象の写真になります。
これはこれでアリです。滝の勢いや水流の激しさを表現するのに非常に向いています。
参考までに、どっちつかずのシャッタースピードで撮影した写真も見てみましょうか。
iso1250・f4.5・ss1/80秒
どっちつかずのシャッタースピードで撮った写真。1/80秒で撮影したものです。肉眼で見るブレ具合に近いですが、写真としてはただ単にブレちゃっただけにも見えますね。
スマホで適当に撮った写真と差別化が難しく、シャープでも柔らかでもない、ねむたい印象の写真になってしまいます。オートで撮影すると大抵こんな感じになっちゃうかもしれません。
必要な機材
さて、今回は冒頭に挙げた写真のような、スローシャッターで撮った滝の写真を目指すのですが、少々機材が必要です。一つずつ何のために何が必要なのかご説明していきましょう。
三脚
必須です。スローシャッターで滝を撮る場合、数秒間に及ぶ露光時間が必要なのですが、手持ちでブレずに耐え切ることは人間には不可能です。
しっかり三脚を立ててカメラを固定することが必要不可欠です。
↑とりあえずお試し、お手頃で使いやすい初めての三脚をお探しならオススメ
↑軽量で頑丈なカーボン三脚を試したいならオススメ。これより先は青天井。
NDフィルター
キーアイテムです。あえて長いシャッタースピードで撮影を行いたいのですが、周りが明るいとiso感度を低くしても、絞りを絞りまくっても、どうしてもシャッタースピードが早くなってしまうケースが多いです。
そんな時に使用するのがこのNDフィルターで、レンズに入る光量を減衰させてくれます。要はレンズに取り付けるサングラスみたいなものです。
どの位光量をカットするかによって商品が別れます。NDフィルターにはそれぞれ「ND8」「ND16」などといった具合に、「ND」という単位で数字が割り振られております、この数字が大きいほど暗く、光量を大きくカットできるようになります。
滝の撮影の場合、多くのレンズで最もキレキレの描写を得やすいF8程度の絞り+最もノイズが発生しない最低感度のiso100で数秒のシャッタースピードを得られればよいので、ND8〜16ほどの数値のものを選ぶのが丁度よいかと思います。
リングを回すことで明るさを可変させることのできる「可変NDフィルター」という商品も存在するので、幅広い状況で活躍させたい場合はとりあえずこれを一枚持っておくとすごくすごーーーく便利です。
低品質なものは画面にムラが発生してしまうものもあるらしいけど、私が購入したコレ↑はざっと見た感じまあ大丈夫そう。同商品の中でも結構な個体差はあるらしいね。
ちなみに、MAXのF22まで絞り込めば昼間の日陰なら数秒のシャッタースピードを得ることが出来ますが、絞り込みすぎると「回折現象」によって描写にキレがなくなるので、やっぱNDフィルターはあったほうがいい。
レリーズ
無くても一応大丈夫です。
三脚を立てて撮影していても、シャッターボタンを押下した際の力で僅かなブレが発生してしまうので、それを防ぐために使います。
要はカメラに触れずにシャッターを切ることが出来ればOKなんです。
無い場合は短いセルフタイマーで撮ると良いです。また、最近はスマホアプリからカメラ操作ができる機種も存在するので、そのような機能を使ってもいいですね。
私はいちいち有線のレリーズを繋げるのが面倒くさいので2秒セルフタイマーで撮ってました。
滝の撮影方法
ここからは撮影の流れ、滝を撮影する際の設定等についてご説明します。
構図を決める
三脚を立ててから構図を考えていてはガチャガチャと忙しく時間がかかるので、大体の構図を決定してからその場所にカメラを固定できるように三脚を立てましょう。
効率よくちゃっちゃか撮って撮れ高を稼ぐのも技術の1つっちゅうわけですな。
絞りを決める
大抵のレンズで最高のキレキレ画質が得やすく、広めの被写界深度をを得やすいF8周りで撮影するのがおすすめです。
私は絞り優先オートでまずF値をこの辺りに固定しています。
シャッタースピードを調整する
滝をスローシャッターで撮る場合は3〜10秒あたりが妥当かなと思います。
長ければ長いほど水しぶきがボケてふわ〜っとした仕上がりになりますが、一定以上長くするとあまり変化が見られなくなります。
13秒と3秒の比較です。シャッタスピードが長くなると手前の水面のムラがやや落ち着きました。また、白い部分のムラっけもより長い長時間露光の方が抑えられています。
それじゃあ長ければ長いほどキレイに仕上がるのか?と言われると…そうでもありません。風があって周囲の草木が揺れている場合はシャッタースピードが遅いほどブレてしまうので、滝はふんわり、植物はシャープに写し取れる両者の妥協点が3〜10秒あたりかなと思うわけです。
先程F値を固定しているので、そのF値のままお望みのシャッタースピードになるよう調整を加えます。
NDフィルターを複数段階分用意している場合はNDフィルターの付け替えを。可変式NDフィルターを使用する場合はリングを回してシャッタースピードが何秒になるか確認すればOK。
ISO感度を少し妥協する、F値をちょっと動かすことで調整する手もあるので、ここは現場で判断しましょう。
慎重に撮る
あとは撮るだけ。前述の通りスローシャッター撮影の場合はカメラに触れないシャッターの切り方をしましょう。
そして露光中はカメラにも三脚にも触れない。モゾモゾ動かないこと。見つかったら殺される、位の緊張感で息を潜めるのだ。
数秒後に仕上がる写真がどんな写りになっているか、ワクワクしながら待つ至高の時間です。堪能しよう。
補足:滝以外の水場でも応用可
iso100・f13・ss2秒
iso100・f8・ss8秒
今回紹介した撮影方法は何も滝に限った話ではなく、水場全般で応用可能です。渓流を流れる水を写し撮る際にも活用できるので、是非試してみてください。
まとめ
不慣れな方からするとなんだか色々用意したり弄ったりしないといけないんだなあと思ってしまったかもしれませんが、それぞれ何のために何をする必要があるのかをまとめておくと、自ずと必要なことを漏れなくこなすことが出来るようになると思います。
- スローシャッターで撮るために:NDフィルターを使う
- キレキレ画質で撮るために:絞りはF8付近にする
- ノイズを出さないために:iso感度は最低の100にする
- ブレないために:三脚を使う・レリーズやセルフタイマーを使う
色々説明しましたが、結局まとめると上記の4項目を満たす為に色々やってるだけなので、最低限のカメラ知識を持ってこれらの目的を意識しておけば、どう撮ればキレイに仕上げることが出来るかな、と現地で考えることが出来ると思います。
以上、滝を撮影する際の参考にして頂けると幸いです。それでは。
コメント