「彩度」と「自然な彩度」の違いを実例を使って徹底検証。【photoshop / lightroom】

レタッチ・加工

Lightroomやphotoshopなど、Adobeのソフトに搭載されている彩度の調整項目って、「彩度」「自然な彩度」の二つがありますよね。

触っているとなんとなく違いが掴めてくるものではありますが、実際どのような違いがあるのか把握しきれていない方は多いのではないでしょうか?

今回は実際の作例や色見本を使用して彩度と自然な彩度の違いを検証していきたいと思います。

彩度と自然な彩度

まずは彩度と自然な彩度それぞれの違いをお伝えします。

彩度

色相やもとの彩度に関わらず、全体の色鮮やかさを均等に引き上げる様に働きます。全色の鮮やかさを均等に底上げしたい場合に使用します。

自然な彩度

もともと彩度の高い部分への影響は抑えつつ、彩度の低い部分の鮮やかさを底上げします。また、色合いによっても効き具合に違いがあり、青系の色によく効果がでます。詳細は後ほど。

検証

色見本を使用して、彩度と自然な彩度がそれぞれの色にどのように作用するのか検証します。言葉で言われてもイマイチ分からない両者の違いを目で見て理解していきましょう。

彩度の検証

先の色見本の彩度を+100にしました。変化が分かりやすいよう、アニメーションで切り替わるようにしています。

もともと彩度が高い上方の列も、彩度の低い下方の列も、全てほぼ均等に鮮やかさがプラスされています。

自然な彩度の検証

今度は自然な彩度を+100にしました。同じMAXまでの調整ですが、彩度と違い全体的に変化はやや控えめですね。

特筆すべきは一番上の列。MAXまで補正しても、もともと彩度の高い最上列にはほとんど変化が見られませんでした。唯一、青色にだけ大きな変化が見られますね。

もともと彩度の高い上部にはあまり変化がなく、中腹~下方にかけてよく作用しています。

また、色相によっても反応に違いが見受けられます。よくみると青系には強く作用しているのが見て取れるかと思います。


自然な彩度は自然界の色合いに合わせた補正

色によって補正具合に違いがあるのって、一見すると「それでいいの?」と思うかもしれませんが、実はこれ、特に自然や風景写真をレタッチする際には非常に都合がいいのです。

青系の補正が強めになっているワケ

自然界にある色で、色鮮やかな色と言えば何でしょう?

・・・結構な面積を占めるものとして「青空」がありますよね

ただ、空って非常に明るいので、写真に写すと白くなって鮮やかさを損ないやすいです。また、いくら綺麗な青空でも、地上に存在するビビッドな色彩に比べるとそこまで彩度が高いわけでもない。

加えて、地上にある自然の青色にも極彩色はあまり存在しません。地上のブルー系色である綺麗な海面やネモフィラの花・・・これらも決してキツイ青色ではありませんよね。

これらの色の彩度ををグッと引き上げる為に、自然な彩度は青色に強く効くように出来ていると言われています。

他の色に比べると、自然界にある青系の色は彩度がそこまで高くないんだ。

実際にレタッチしてみる

例の如くLightroomを使用していきます。

例えばこの写真。

手元のチューリップに露出を合わせると空が白くなってしまったので、もう少し空の彩度を上げたいところです。空のレタッチのしかたは様々ありますが、今回は彩度だけで調整したらどうなるか見てみましょう。

あえて極端にいきました。彩度で各色平等に鮮やかさを加えてしまうと、空は多少鮮やかになりましたが、もともと彩度の高かったチューリップも一緒にどんどん彩度が上がってしまい、不自然にビビッドになってしまいました。上げすぎると色飽和の原因にもなるので注意が必要です。

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こちらは自然な彩度をMAXまで高めたバージョン。

自然な彩度を高めると空の青色はガッツリ引き上げてくれる一方で、もともと彩度の高いチューリップへの影響は控えめに抑えてくれました。

これを見たら分かる通り、自然な彩度の「もともと彩度の高い部分にはあまり作用しない」「青系には強めに作用する」という特徴は、自然界にある色彩をレタッチで綺麗に整える際に非常に有用です。

また、彩度の高い部分にはあまり作用しないので、彩度の調整で発生しがちな色飽和が起こることも少なく済みます。

文字通り、自然な具合で彩度を調整してくれるんだ。

万能ではないのでご注意を

自然界に存在する色彩を自然に補正することが出来る自然な彩度ですが、青色によく効くという性質上、被写体によっては自然のものでもうまくいかない場合があるのでご注意を。

例えばこれ。ネモフィラという青い花が被写体です。

こちらも先ほどの様に「彩度+100」「自然な彩度+100」でそれぞれ補正を加えてみましょう。

結構以外じゃないですか?改めて自然な彩度が青系に強く作用するのが分かる例だと思います。

なんと彩度MAXの方が自然な彩度MAXよりもナチュラルな仕上がりになったんですよね。

このように、自然が被写体だから・風景写真だからといって彩度の調整は全て自然な彩度にお任せ!…としていると被写体によってはおかしくなってしまう可能性もあるので、レタッチする相手をよく見てどう調整を加えていくか考える必要があります。

まとめ

改めて「彩度」と「自然な彩度」の違いを記載します。

彩度

  • 全ての色の彩度をほぼ均等に底上げする
  • 上げすぎると色飽和を起こすが高まる

自然な彩度

  • 彩度の低い部分の鮮やかさを底上げする
  • 色相によって効き具合が異なる
  • 特に青系に大きな影響を与える

自然を撮った写真をレタッチする場合は、自然な彩度で調整すると特に難しいことを考えなくても大体上手い具合に仕上がったりしますが、被写体の色合いによっては要注意です。

一方、人工物など全ての彩度を一様に引き上げても問題が無い場合は彩度で調整を加えると素直な補正をしてくれます。

それぞれの性質を知った上で、状況に応じて判断すると良いでしょう。

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